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政府におかれましては日本経済再生を最重点課題に掲げ、アベノミクスを進め、その障害となる岩盤規制を見直し効率化を図り、産業構造への転換を図っておられる。とりわけ貿易立国として物流の中核を担う港湾機能の高度化、効率化は喫緊の課題と認識される。
四国中央市は三島川之江港を有し、製紙・紙加工産業の工業製品出荷額は日本一の地位にある。当地は大消費地に遠く、製紙産業用の水資源不足のハンディがあった。しかし、先人の尽力でダムによる工業用水の確保と当該港湾を礎に発展してきた。しかし近年、アジア諸国は港湾効率化、物流コスト低減による国際競争力を高め、国内製紙・紙加工産業へ大きな影響を及ぼしている。
そうした中、国土交通省は10年前に当該港を港湾運送事業法の指定港化候補とした。以来、毎年、全国の関係団体からの強い受諾要請がある。同法は昭和26年、戦後混乱期の港湾秩序確立を目的に制定され、港湾の事業免許制、需給調整等で労働環境改善、悪質事業者排除等に効果を上げた。しかし同法の規制は、近年、貿易のコンテナ化により近代化した港湾実態と乖離し、米国連邦海事委員会からの指摘も受け、法改正を重ねている。それでも有識者の中には、同法は依然、港湾の競争力低下の一因となっていると指摘する声もあり、当議会に対しても多くの地元企業から指定港化の見直しの要望が寄せられている。
指定港は、事業の許可制や、取り扱い数量による施設と労働者の保有基準を定めており、また、料金の事前届出制等の規制もある。港湾事業者は、これまでの柔軟で効率的な事業運営の継続が危惧されるところである。さらに新たな業務ごとに関係団体との事前協議制を求められる上、港湾労働者の福利厚生等への船社、荷主の拠出金負担(当該港では既に負担)等から、地元産業界には国際競争力低下への不安がある。昭和50年以来、40年間新たな指定港はない。当該港の指定港化の主な理由は、コンテナ取り扱い貨物量の飛躍的な伸び、周辺指定港からのダンピングの懸念、港の秩序混乱への予防となっているが、他の関係労働法令に抵触することなく、自由港として労使協調のもと、業務改善、サービス向上に努めた成果と認識している。平成8年には茨城県でも常陸那珂港を国際的港湾のため指定港化を求めない要請も出ている。
政府、関係省庁におかれましては経済再生、地方創生を図る上で、国際競争に勝ち抜く港湾のあり方も含め御検討賜り、何とぞ、当該港の指定港化の意義について見直されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年3月26日
四国中央市議会
(意見書提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
厚生労働大臣
経済産業大臣
国土交通大臣
地方創生担当大臣
今、国の事業として進められている海洋環境整備事業は、海上の浮遊ごみや油の回収により船舶の航行の安全を守り、海洋の豊かな自然環境を維持している、住民の生活や安全に欠かせない重要な国の役割である。ここ瀬戸内海においても、船舶事故などによる油流出事故が相次いでおり、油防除体制の強化や海面浮遊ごみ・油回収船の体制の充実が求められている。
また、2011年3月11日に発生した東日本大震災においては、海洋環境整備事業に従事する国の船舶が、震災の翌日から災害支援物資を積み込み、海上から各被災地の港に運び入れ、そして4隻が約1カ月間にわたり海上浮遊物の回収作業に当たり、港湾機能の復旧に大きな役割を果たした。
このような東日本大震災の教訓をもとに、2013年6月には「港湾法」が改正され、非常災害時における港湾機能の早期維持・復旧の国の役割が改めて定められた。そして昨年1月には、三大湾(東京湾・伊勢湾・大阪湾)がその国の役割としての対象に指定された。今後南海トラフ巨大地震などの防災対応が急がれるもとで、三大湾以外の瀬戸内海や関門航路においても、非常災害時に国の責任と役割として、早急に指定されることが重要である。
瀬戸内海は、閉鎖された海域で貴重な漁業資源の宝庫でもあり、大小無数の島々が存在する美しい自然環境を有している。古来より人の営みの基礎として海上交通の発展してきた地域でもあり、現在も数多くの船舶が航行している。こうした自然や物流の機能を次世代に継承していくためにも、海洋環境整備事業の充実とそれを担う、直轄・直営船舶の運航体制の拡充が必要である。
よって、国においては、下記の内容について実現することを強く要望する。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年3月26日
四国中央市議会
(意見書提出先)
内閣総理大臣
総務大臣
環境大臣
国土交通大臣