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一期一会
樹木希林さんと黒木華さんのお茶の形、形式をテコにして、静寂、自然、心のざわめき、そしてあるべき姿、時間などを描写した「日日是好日」(にちにちこれこうじつ)という映画がある。他にも有名な俳優さんが出ているが、一コマ一コマ二人の女優さんが画面いっぱいに広がり、圧倒的な存在感で構成されている。
私はお茶のことはさっぱりわからない。原作のエッセイ集も読んでみた。地元で渾身(こんしん)の力を込めて、夫婦協力して絵を描いている坂田瑞来先生が「時間をいかにキャンパスに表現するか」と言われたことがあった。文字とスクリーンと絵画の違いはあるが、自然と時間と生きている私が、混沌(こんとん)としてここにいると思うような表現である。
当たり前のことを、仕事も私事も、生きている五感を大事にして、ぶうーんと飛んでくる蚊なんかに惑わされることなく、ただ美味しいお茶を飲めばいいではないかと思います。…劇中のセリフです。
令和2年3月1日
四国中央市長 篠原 実