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衣食足りて礼節を知る
この時期は、体調の維持に気を遣う。大変寒い時もあれば、暑いくらいな日もある。木々の景色も紅葉から、冬を迎える準備で葉っぱを落とし、寒々と見えるが、枝だけになり、冬ごもりの態勢になる。
先日、日曜日の夕方、車を西に走らせていた。晩秋の夕日は赤く輝くより、黄色く燃えている。涼しくなるのかなと思っていた夏が懐かしく思えるほどである。けれども人間の社会は、そう簡単に変化できない。日本の国会も、アメリカの大統領選挙もめんどくさいくらい、ややこしい。それは、人間の存在がややこしいし、内面はもっとめんどくさいからである。コロナウイルスのニュースだけ聞いていると、ほかに病気はもうないのかと思えるほどである。現実は、ほかの肺炎も減ってはいないのである。
衣食足りて、礼節を知る、と言われている。反対に衣食足りなければ礼節を知らないのかと言えば、そんなことはない。どんな状況下においても、きちんとしている人はたくさんいる。その日常の哀歓は、藤沢周平さんの小説にたくさん出てくる。割り切れない人生を無理に整数にしないで、小数点以下の余韻もまあ、いいかと思うのはどうだろう。
もうすぐ年の暮れである。後ろ向きにならず、一歩前への心気でみんながんばろうね!
令和2年12月1日
四国中央市長 篠原 実