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それでは、令和7年四国中央市議会第1回定例会の開会に当たりまして、施政方針を申し上げます。
まず、防災・減災対策とインフラ整備についてでございます。
昨年の「南海トラフ地震臨時情報」の発表や、本年1月の「南海トラフ巨大地震」の発生確率の引上げなど、大規模地震への緊張感が高まる中、本市におきましても、大規模災害への備えを、今一度、早急に取り組む必要があると感じております。
そのような中、活躍が期待される防災士につきましては、防災・減災技能の研鑽や防災リーダーとしての自覚を醸成するため、先日、「四国中央市防災士ネットワーク」を設立いたしました。
これまでの養成事業に加えて、ネットワークを核とした防災士の育成を図るとともに、自主防災組織や消防団との連携を強化することにより、地域防災力の向上に努めてまいります。
また、多発化、多様化、頻発化する災害等に迅速かつ確実に対応すべく、東予東部3市において、「愛媛東予東部消防指令センター」の令和9年度末の運用開始を目指して、計画的な整備を行ってまいります。
天満・蕪崎地区において整備中である「北地区交流センター」については、地域に親しまれる施設、災害時の拠点施設として、本年夏頃の開館を目指し、着実に取り組んでまいります。
また、企業用地の確保と防災・減災効果を目的として実施しております城山下臨海土地造成事業は、計画どおりに進捗しており、今後も関係機関と連携を図りながら、令和11年の完成に向け進めてまいります。
三島川之江港は、コンテナ貨物取扱量が堅調に推移する中、既存施設の老朽化対策や防災拠点としての環境整備の必要性が高まっております。
また、国道11号川之江三島バイパスは、交通混雑の緩和だけではなく、災害時における緊急輸送道路としての役割も有することから、一日も早い全線整備が急務となっております。
地域産業の基盤づくりと防災力の強化の観点から、引き続き整備促進に取り組んでまいります。
併せて、新法皇トンネルの早期整備につきましても、嶺南地区の活性化や、本市の産業を支えるダムの維持管理に資するという観点に加えて、災害発生時における集落の孤立化や救助活動の遅延を防ぐためにも、粘り強く要望活動を行ってまいります。
次に地域医療についてでございます。
持続可能な地域医療提供体制の構築は本市の重要な課題であることから、新規開業医に対する助成制度に加え、「東予東部3市による小児の一次救急医療の広域化」に取り組むなど、限られた医療資源を有効に活用し、切れ目のない診療体制を構築してまいります。
また、新中核病院の建設につきましては、医師確保や物価等の高騰を理由に、一時中断となっておりますが、市としても必要な支援を検討してまいります。できる限り早く再開ができるよう願っております。
次に、地域産業の支援・強化についてでございます。
本市の基幹産業である紙産業におきましては、人手不足や物価高騰、エネルギー転換などの対応が迫られております。本市では、各種補助金の交付や企業説明会の開催、中高生への紙の情操教育などを提供し、経営基盤の強化と人材定着の促進を図ってまいります。
次に、地球温暖化対策についてでございます。
「日本一の紙のまち」である本市においては、産業部門における温室効果ガスの排出量が多大であり、排出抑制が脱炭素社会実現の鍵となっております。
この課題に行政と「四国中央市カーボンニュートラル協議会」をはじめとする民間事業者が連携し、取組を一体的に進めることにより、解決の道筋が見えてきております。
これを踏まえ、市発足20周年の節目の年を迎えた今、本市は、2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」の実現に向け、市民、事業者、行政が一体となって目指すことをここに表明し、脱炭素化に取り組む事業者への支援や、学校施設をはじめとする公共施設のLED化を進めるなど、各部門において実効性のある取組を進めてまいります。
次に、人口減少・少子化対策についてでございます。
本市では、人口減少・少子化対策につながる施策を部局横断的に推進するため、「人口減少・少子化対策プロジェクト」として、これまで18事業を実施しております。令和7年度は、「妊産婦・乳幼児健診タクシークーポン事業」など新たに7事業を実施する予定としております。
次に、子育て支援についてでございます。
保育需要が増加する一方、少子化は急速に進んでおり、民間保育施設においては、今後の運営見通しに非常に危機感が強くなっております。
そのようなことから、官民の垣根を超えて、需要に応える体制を整えるとともに、園運営に係る経済的支援を実施し、安定化を図ってまいります。
また、学校教育では、子どもたちの学びを支えるICT環境の構築に努めるとともに、デジタルの活用により、教職員の業務改善や働き方改革にも取り組みながら、多様化する児童生徒一人ひとりを大切に、あったかな教育を実施してまいります。
そのほか、子育て世代の負担軽減を図るため、令和7年度も、学校給食費及び保育園等副食費の無償化事業を継続して実施いたします。
次に、福祉分野では、太陽の家成人部を、本年4月に民間移譲いたしますが、児童部については、公設公営による福祉型障害児入所施設として移転新築し、令和8年4月の開設を目指し、準備を進めてまいります。
高齢者や交通弱者の生活に欠かすことのできないデマンドタクシーについては、利用者にとって満足度や利便性の高い運行ができるよう取り組み、人にやさしいまちづくりの基盤となる公共交通体制の構築に向けて、効果的な施策を進めてまいります。
以上が、令和7年度の重要施策と主な取組でありますが、これらの重要施策の実現を目指し、編成いたしました令和7年度当初予算は、一般会計当初予算額427億7,300万円と特別会計が265億2,400万円の総額692億9,700万円で、前年度との比較では一般会計で1.2%の増、特別会計では2.1%の減となっております。
四国中央市長 篠原 実