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涙のあふれ出る所以
先日、しこちゅ~ホールで映画「書道ガールズ!!わたしたちの甲子園」の上映があり、足を運んだ。15年前の封切り以来、何度も繰り返し鑑賞した映画なのに、終始、涙と鼻水が止まらなかった。年齢とともに涙腺が緩んできたことは否めないが、帰宅しながら、その所以に思いを馳せてみた。
「全てはココから始まったんだ!」という思いとともに、足掛け20年近くになる書道パフォーマンスとの関わりが走馬灯のように頭の中を巡り、その折々の出会いや感動が込み上げ、そして、今の事態とも重なる。
その背景の一つが、今日までの本戦大会におけるボランティアでの選手誘導班という役割である。高校生ボランティアと共に、延べ三千人を超える書道ガールズたちを激励し、入場門から会場へ送り出して退場門で達成感を分かち合った。
二つ目は、元日のズームイン!!スーパーの生中継。三島高校書道部が川之江栄町商店街で披露したパフォーマンスの応援に、正月らしさを醸し出そうと、たんすの肥やしだった和服に袖を通して臨んだこと。保護者と近隣商店主などの姿はあったが、三島高校故か川之江の人は驚かず、場所が川之江故か三島の人は訪れず、全国放送なのに人出は映画のシーンより少なかった。
三つ目が、東日本大震災の復幸応援センター派遣で暮らした陸前高田の仮設集会所で、被災した親子や高校生たちを元気付けようと、持参したDVDを上映し、共に涙したこと。震災の年の8月に現地の小学校で開かれた復興イベントで、「再生」と印刷したうちわを配ったりもした。
脳裏によみがえるシーンは枚挙に暇がないが、いつも根底に流れるストーリーは、書道ガールズが「自分たちの力でまちを元気にする!」と青春を懸けて紙と向き合い、筆を走らせるということ。
「再生」は、今まさに日本一の紙のまちに突き付けられた至上命題である。その再生を託された者の一人として小職も、彼女たちに負けてはいられない。
さあ、今年も入場門に立って選手たちを送り出そう!
令和7年7月1日
四国中央市長 大西 賢治