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令和7年10月 逆風満帆!

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記事ID:0053070 更新日:2025年10月1日更新

あーきよ来い‼


 今年の中秋の名月は、いつだろう…ふと、そんな疑問が脳裏をかすめた。仕事に区切りをつけて、家路についた時、東の空の明るい月に問いかけられた気がした。
 何のためらいも無くスマホに手を伸ばす…10月6日月曜日か。
 

 たしか平成22年のこと。園庭・校庭芝生化事業を立ち上げ、そのモデル事業として市民ボランティアを公募し、川之江児童館の園庭に鳥取方式でティフトンのポット苗を植え、一連の事業に着手した。

 「協働」という看板を掲げての当時の井原市政の目玉事業に、多くの方々のご理解とご協力を得た。その先頭を走る児童館の芝生広庭を守るために立ち上げた任意団体が川之江児童館サポーターズクラブ。熱い思いの有志に支えられて、洋芝のティフトンは四方にランナーを伸ばし、園庭一面に広がった。

 6月に植えた苗は、真夏に水やり重点期を迎えた。設計上、スプリンクラーがカバーできないエリアは、ホースでの水やりが必要となり、それを黙々と担ってくれたのが地元の老人クラブ・川之江三宝会のばあちゃん、じいちゃん達だ。とは言え小職の親世代である。

 早朝の旗持ち・登校指導のあとに芝生の様子を見に行くと、「お水やったきんなー」と汗びっしょりの笑顔で元気に語りかけてくれたのが昨日のようだ。以来、約10年間、週一回の芝刈りを担ってくれた「緑の中年団」に守られて、緑の芝生は児童館に訪れる子どもたちを育んでくれた。

 そんな皆さんの労をねぎらおうと始めた「お月見会」。当日の午後から休暇を取って金生川を下流から上流へ、金田・川滝から堀切峠へ、ススキを探して毎秋走り回った。処々で野に咲く草木を適当に摘み取り、三宝会の元会長が遺した大壺に投げ入れてライトアップ。「すごいなー。どこで習たんな?」ばあちゃん達のお世辞に悦に入り、自らも癒された日々が懐かしい。

 児童館も公民館も老人つどいの家も今では別の芝生広場と化し、往年の笑顔もひとりふたりとメモリアルになっているが、地域を愛する精神だけは今も、子ども食堂「かあか」に受け継がれている。

令和7年10月1日

四国中央市長 大西 賢治