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カーテンコールに臨む七十四の瞳
第10回を迎えた市民ミュージカルは、7月5日のオーディションを経て、河村英茂教育長を座長とする「四国中央ふれあい市民劇団」が結成され、時を経て最終的なキャストが35人に絞られた。
練習日は毎週月・水・土曜の19時から22時まで。福祉会館を主たる稽古場とした劇団の錬成は、11月29日・30日の二日公演をめざした。セリフ、芝居、歌、踊り…個性あふれる面々の苦悶の日々は、真夏を乗り越えて4カ月を超える長丁場となった。
今回のタイトルは「アイランド海に沈む王国〜今わたしたちにできること」。そのテーマは「防災・減災〜共助による大地震への備え」である。
脚本・演出は、今回も劇団サイケデリック・マンモスの山本淑子氏が務め、夫婦二人三脚で劇団を束ねてくれた。淑子氏は、小職の尊い同級生の一人で、その風貌から今や「山本総理」と呼んでいる。
20年を超えた本市の市民ミュージカルは、合併の年に演じた郷土の児童文学作家・古田足日先生の原作による「うずしお丸の少年たち」を皮切りに、二年に一度の市民公募劇団編成で「風の王国」「君をおもいて風が吹く」「秘密の風船爆弾」「しこちゅー★クライシス」「ラブ・ミー・テンダー」「宇摩のシンデレラおさく」「あした来い来い恋(古井)の池」「晴れ、ときどき不自由」と、キャストたちの人生ドラマとともに歴史を重ねた。
今回、何よりも感激したのが、共生社会をテーマとした前回作品に障がい当事者として出演したメンバーが、オーディションを経てキャストとなり、共生劇団としての公演になったことである。それに呼応する形で、小職も座長の教育長と共に配役を戴いた。
キャスト35人と演出の鞭を振るう山本夫妻。合わせて七十四の瞳は、振付・音楽・照明・衣装などのスタッフに支えられて、日々その眼光の鋭さを増してきた。
果たして、しこちゅ〜ホールに集う観客の胸に、何かを響かせることができたろうか?
令和7年12月1日
四国中央市長 大西 賢治