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サクラサケ!
「合格したよ!」という喜びを伝える電報の主役だった「サクラサク」も、時の流れとともに出番を失ってしまった。
それでも、思いの丈を存分に綴った長文や、シャッターを押しまくった画像、感動をリアルに伝える動画などが瞬時に光ファイバーの中を走り、空を駆け巡って届けられる技術文明の陰に鎮座して微笑んでいるように思える。
長年の懸案であった「太陽の家」児童部の新しい暮らしの場が、多くの方々のご尽力により晴れて完成し、2月27日に開所式を行った。人生3度目のテープカットもさせていただき、感無量であった。
既に内覧は済ませてあったが、真新しい入所施設の10人分の居室には、それぞれ花の名前が付されている。ひなぎく、すずらん、もも、なでしこ、こでまり、あさがお、こすもす、なのはな、すみれ、あやめ。子どもたちが日々暮らすこととなる部屋を巡りながら、建築に携わった人々の思いにも寄り添ってみた。桜や梅、菊や百合など日本を代表する花のような優雅さは無いまでも、どれも可憐な美しさを誇る花ばかりである。
すずらんやこでまりなど、何種類かは我が家の庭にもあるな…と思い、傍にいた職員に声をかけた。
「どの花も前の庭に植えて、これがあなたの部屋のお花よ!って言うてあげれたらええなあ…」
折りしも、3月8日に第1回の「書道パフォーマンスインカレ」が開かれ、名乗りを挙げてくれた13の大学生チームが、書やパフォーマンスとともに、漢語や和語の短い言葉に託した想いを体現してくれた。大阪教育大学の「相潤」に勝利の女神は微笑んだが、どの演技も、高校生の甲子園とは趣の異なる魅力と感動に満ちていた。
4月から、銘々の事情を背景に親元を離れ、「太陽の家」での新しい生活を始める5人の子どもたちを温かく包み、しっかりと育てることが私たちに課せられた使命だ。
その子たちをはじめ、すべての子どもたちに電報を送りたい。
「サクラサケ!」
「人生ノ美シイ花ヒラケ」
令和8年4月1日
四国中央市長 大西 賢治
