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四国中央市特産物「新宮茶」の紹介

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記事ID:0001639 更新日:2020年9月7日更新

~「安全で安心して飲める無農薬茶作り」~

 『やま茶』というお茶をご存じですか?
やま茶とは、山あいの畔や雑木林などに自生するお茶のことで、現在ある多くのお茶のもととなるものです。新宮ではこのやま茶をいたるところで見ることができます。
 これは新宮の気象や土質がお茶の栽培に適していることを証明しており、今日の新宮茶の礎ができるはるか昔から、私たち新宮の人々にとって、お茶がいかに身近なものであったかをうかがい知ることができます。
 さて、新宮茶の歴史が本格的に始まったのは昭和26年のことでした。
 当時の村長石川重太郎は、村の特産品作りのためにと、当時好況だったお茶に注目しました。彼は、静岡よりお茶の種を取り寄せ村内農家に配って栽培したのです。これが新宮で初めての畑地茶栽培でした。
 その後、お茶の生産量を安定させるため、静岡の国立原種農場より優良品種「やぶきた」(現在、全国の品種茶園の約90%を占める品種で、やぶを切り開いた茶園の北側から選ばれたのでその名がついた)の苗木を入手、品種茶栽培に取り組むことになりました。昭和29年3月、四国で初めてやぶきた種が植えられたのです。
 この「やぶきた」の育成には脇久五郎の功績が欠かせません。久五郎は全くの未知であるお茶の栽培に果敢に挑戦し試行錯誤を重ねました。この苦労は血のにじむような努力であったと伝えられています。この久五郎の執念が、当時困難とされていた挿木による苗木の育成を成功に導き、新鮮な苗木が手近に供給され初めた昭和30年、村内初の茶園が完成し新宮茶の安定生産へとたどりついたのです。

 また苗木育成の成功により多くの自治体・農業団体から苗木の需要が殺到、四国各地へやぶきた種を供給することになりました。こうして県内外に送られた新宮産やぶきた種が大きく実を結び、新宮茶は四国の茶産業の起源となったのです。
 脇製茶場脇博義は、昭和58年、それまでの農薬や化学肥料を使用したお茶の栽培ではなく、土着天敵を利用した新たな栽培方法、農薬を使わない栽培を村内へ呼びかけていきました。
 当時、農家の人々は農薬が作物や人体に与える毒性に気づいていながらも、害虫の大量発生に対して農薬の使用の他に変わる対処方法が見つからず、何とかしたいというもどかしさを感じていました。
 そんな中、脇博義はあることに気づきます。それは半数近い農家が一番茶のみの摘みとりで、定植以来一度も農薬を使用していないということでした。この農薬を使っていない茶畑では夏や秋に被害がでるものの、一番茶の収量は変わらず確保できていたのです。これにヒントを得た博義は50アールの茶畑で農薬を使わない栽培を試験したのです。その結果、一番茶は同じように被害がなく、二番茶の摘みとり後すぐに枝を切ることで害虫の餌をなくし、害虫の大量発生を防ぐことに成功しました。しかし、夏期に現れた害虫には対処法がなく大きな被害をうけることになったのです。9月に入り被害を受けた部分を除くために切り込んでみると、害虫の天敵、クモが発生していました。このクモの出現により、害虫の被害を食い止めることができたのです。このできごとは自然の生態系を利用した農薬を使わない栽培への大きな一歩となりました。その後、害虫の発生とその天敵の成長をくりかえす中でお茶栽培に適した自然の生態系を確立、農薬を使わなくてもおいしいお茶を安定して生産できるようになったのです。
 今日でもお茶の農薬を使わない栽培は全国でも数えるほどしかなく、この技術が確立されていなかった当時は、試行錯誤を繰り返す中で危機的な状況になることも幾度とあったそうです。博義の呼びかけに村ぐるみで取り組んだこの挑戦が実を結んだのは、昭和61年のこと。ついに村内全戸でもお茶の農薬を使わない栽培に成功したのです。

 新宮茶の特徴はなんといってもその香りの良さです。農薬を使用していない茶葉は自然本来の香気を放ち、その香りの高さは日本一と評価されています。味は滋味が漂う野生的な渋み、色は淡い黄色が特徴です。その新宮茶の評価は、平成12年に中国の浙江省杭州市で開催された第2回国際銘茶品評会・緑茶の部において、脇製茶場の『希物』が国際銘茶と評価される金賞を受賞したことにより証明されています。
 また今日では、お茶に含まれている成分が身体に非常に良いとされ、飲むことに加え食べる習慣も広がっています。ここでも無農薬で作られる新宮茶は安全性と信頼があり高く評価されています。
 先人の知恵と勇気は今日まで受け継がれ、効率化社会の中にあってもなお、手間暇かかる無農薬での栽培にとりくんでおり、村人の情熱が生んだ「希少の一服」として多くの人に親しまれています。

 

新宮・富郷ブレンド茶「結の霧ひめ」についてはこちら
https://www.city.shikokuchuo.ehime.jp/soshiki/24/19522.html