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本戦の賞状はこうして作られています!
大会本戦において、優勝や準優勝などの上位成績を収めた高校に授与される賞状。
これまで、手にした事があるみなさんならおわかりでしょう。
この賞状は、普通の紙ではありません。1枚1枚、手すきで作られた和紙です。
“日本一の紙のまち”である四国中央市の伝統産業のひとつです。
今回は、その賞状を作っていただいている宇田武夫製紙所さんにお伺いしてきました!
数少ない手漉き和紙の製紙所
現在、宇田武夫製紙所を営んでいるのは、三代目となる宇田秀行さん。
宇田さんの先々代にあたるお祖父さんが大正初めに創業されてから、なんと110年以上の歴史を誇ります。
大阪で繊維関係の仕事についていた秀行さんに、お父さんから「家の仕事を手伝わんか?」と打診があったのは25歳の時。
「当時から手漉きをしよるとこは減りよったけど、こんなに減るとはねぇ」と笑う宇田さん。
地元に帰ってきた宇田さんが家業である手漉き和紙に携わるようになって、47年が経ちました。
その間、数多く存在した手漉き和紙職人の工場はすっかり姿を消してしまい、手漉き和紙を行う事業所は数軒に。宇田さんは「体が動く限り続けていきたいですねぇ、手漉きは」と話します。
宇田武夫製紙所の、ある日の風景
朝7時に起床し、朝食をとってから、8時前には作業場に入ります。
仕込んでおいた原料などを準備しながら、9時から手漉き作業を始めました。
この日はハガキを漉く作業です。
原料は、楮(こうぞ)・三椏(みつまた)と並んで和紙によく用いられる原料である、雁皮(がんぴ)を使います。
「大体午前中は立ちっぱなしで、休憩もろくにせんと作業しよるねぇ」と軽く話す宇田さん。
作業を横で拝見しているだけの私のほうがだんだん腰が痛くなってきました…!
淡々と作業を重ね、時折少しの水で口を潤しながら、ひたすら紙を漉いていきます。
溜め漉きとよばれるこの作業、1日大体20回、多い時で40回もこなすそうです。
本戦の賞状を漉く時と同じ材料、同じ方法で漉いていきます。
この日、手漉き作業がひと段落したのはもうすぐ正午になろうかという頃でした。
宇田さん、本当に休憩なしとは、タフですね!笑
あとは、水分をきって、丁寧に自然乾燥させて、仕上げるだけです。
手漉きの賞状に込めた思い
選手のみなさんが特別な思いをかけて手にする賞状なので、それに負けないよう思いをこめて漉きました。
これを手にした時、他の大会の賞状とは違う雰囲気を少しでも感じてくれれば嬉しいです。