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有限会社丸あ製紙所
創業明治40年という百十余年の歴史を誇る製紙所。代表・脇正樹氏は創業より数えて四代目社長に当たる。元々は役所などで使われる複写用紙や登記用紙といった、薄さに特化した紙を手漉きで製造していた。昭和30~40年頃の全国的なかな半紙ブームに乗じ、書道用紙を製造し始め今に至る。製造工程こそ機械漉きを行うが、原材料の大半はパルプではなく元来の植物原料を活用。自然由来の魅力を残した和紙の製造に重きを置いている。
機械漉きを取り入れつつも 自然由来の原料を使用 紙本来の魅力を現代に残して
社の最大の特徴は、主な原料としてミツマタや雁皮、靭皮などの植物原料を自社で仕入れ・煮熟を行い和紙を作る点となる。糊素材としてもトロロアオイを活用したり、製品によっては麻や藁、茶葉といった自然素材も活用。便利で効率的な機械の力を借りつつも、元来より和紙が持つ風合いや手触り、色合いといった良さを残すための選択だ。そんな社の方針を頼りに、企業他社から特注紙の製造の依頼が舞い込むこともままあるという。
流通の書道用紙のみならず特注紙の製造も
製造している書道用紙のラインナップは約30種類に及び、中でも雁皮を使った高級紙が主力商品となる。繊細でやわらかな筆致の線質や、墨の伸びをしっかり拾う紙質のため、かな書き用や出展用の書作品向けとして重宝される商品が多いそう。要望やニーズに応じて、籾殻や熊笹などの自然素材を取り入れた色味、柄入りのユニークな和紙も製造。また創業時に培った薄い紙を製造する技術を応用し、写経用紙なども手掛けている。
おすすめ書道半紙:純雁皮かな用半紙
筆運びもよく、書き味もなめらかな高級和紙。独特の光沢感や柔らかな手触りは手漉きの風格を漂わせる。通常の白和紙のみならず、茜や茶、水色、クリーム、紫の五色展開も大きな魅力。シンプルな毛筆作品のみならず、様々な形式で書という手法を用いた美術作品を製作する人にも人気の用紙だそう。
何歳になっても新しく挑戦できる、それも書道の魅力
脇正樹さん
書道の一番の魅力は、何歳になっても始める事ができる点だと思います。四国中央では幼い頃から毛筆に親しんだ人も多いですが、同時に大人になってからは少し離れてしまった…という人もたくさんいることでしょう。ですが十数年、時には数十年のブランクがあっても再びカンタンに挑戦でき、都度上達を喜びながら字を書くことを楽しめる点も、書道の良さだと近年実感しています。特注商品の製造などで全国各地の方とやりとりをする事もあるのですが、その際に地元から始まった書道パフォーマンスの魅力が着実に県外でも広まっていると感じる機会も多いですね。年々大会のレベルも高くなってますし、今後の人気拡大も非常に楽しみです。
会社:有限会社丸あ製紙所
住所:〒799-0113 愛媛県四国中央市妻鳥町651−2
TEL:0896-58-2760
FAX:0896-58-1517