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合鹿製紙有限会社
昭和27年創業、現代表は三代目社長となる曽我部秀樹氏。書道用紙の手漉き和紙製造・販売から事業を開始し、今は主に書道用紙と色京花紙の製造を手掛ける。特に色京花紙はシェア80%を占める全国一の生産量を一社で担っており、他にない高発色の独自染料や紙の厚み・質感へのこだわりが大きな強みだ。曽我部氏の後陣を支える息子3人を筆頭に、二十数名の従業員が一丸となって長年受け継がれてきた和紙製造に日夜取り組んでいる。
厚み・コシにこだわり有り! 書道初心者への門戸を開く 手に取りやすい用紙を製造
メインで製造する書道用紙はいわゆるパルプ半紙。原料は古紙パルプだが、近年進むデジタル化の影響で古紙そのものが減少している点も懸念のひとつだという。加えて書道用紙は常時一定の質を求められることが多い一方、古紙パルプには様々な紙が配合されるため、完全に均一な質を保つことは非常に難しい。様々な葛藤を抱えつつも、顧客満足のため日々細部まで製造の手を抜くことはない。
世界に二つとない特殊な製造機器を導入
さらに独自の製造のこだわりとして、原料の繊維を砕く工程に特注の刃が付いた叩解機を導入。和紙の厚みごとのパルプ配合調整はもちろん、パルプを砕く細かさまで調整を行うという。6kg以上の厚みの紙には、通常あまり用いない特殊パルプを配合し墨の入りをカバー。出来上がった用紙は社長自身で毎日墨付きを確認し、外的環境に左右されやすい製紙業の中で最大限の質の均一化を図っている。
おすすめ書道半紙:天龍
創業時から製造方法・原料等もほぼ変わらず、今に至るまで70年以上製造され続けている社の看板商品。長年大勢のユーザーに愛され続ける最大の理由はやはり墨色の発色の良さだ。学童用、練習用によく用いられるオーソドックスな墨汁との相性を考慮して、パルプ配合や紙の厚みを設定しているという。
マーケット縮小に負けず今後も火を灯し続けて
取締役・曽我部公彦さん
書道は日本の古き良き芸術文化ですが、近年はやはり昔に比べずいぶん人口も減少しました。完全に絶滅することはないかもしれませんが、少子化や娯楽の多様化などで、そういった側面があるのも確かなことだと思います。事実、書道用紙の出荷量データなどを見てみると、マーケット規模は40年前に比べ約3分の1にまで縮小。私たちの体感としても、周辺地域で同様に書道用紙を作っていた製紙会社は、当時に比べ半分近くまで減ってしまいました。その中で書道パフォーマンスという新たな形式で、書道の文化や魅力が新しい層の人々に届くのは本当に嬉しいことです。この潮流が直近五年十年と言わず、今後もさらに続いていくといいなと思いますね。
会社:合鹿製紙有限会社
住所:〒799-0431 愛媛県四国中央市寒川町2523
Tel:0896-25-2323
Fax:0896-25-2160