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宇田武夫製紙所

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記事ID:0043128 更新日:2021年7月1日更新

 大正2年の創業時から、代々手漉きの技術を現代に伝える製紙工房。現在唯一の職人として和紙製造に携わる宇田秀行氏が工房の四代目となる。秀行氏自身も一度実家を出たものの、昭和50年に帰郷。父親と共に紙漉きの仕事へ従事し、職人技術を教わったのちに後を継いだという。元々は書道用紙を専門に作っていたが、現在は主にコウゾや雁皮を原料とした、神社仏閣への神事奉納に活用される奉書紙をはじめとした和紙を製造している。

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昔ながらの手漉きの工程を 現代まで守り繋いできた 職人の想い籠もる高級和紙

 元々紙漉きの仕事は冬の農閑期に行われるものだった、と語る秀行氏。冬季の冷たく不純物の少ない水の方が良質な紙を作りやすく、加えて煮熟の過程を踏んだ紙の原料は夏に長期間置いておくと腐ってしまう。昔ながらの手法で紙を漉くからこそ、工房の主な手漉き作業の稼働は冬から初夏にかけてのみ。休閑期はそれまでに漉いた膨大な紙を、一人で裁断・梱包する作業が主な仕事なのだそう。

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手漉きでの和紙製造ならではの難しさ

 紙漉きの作業で一番苦心するのは、糊と原料のバランスの塩梅とのこと。糊の利いた紙の方がぱりっとしたハリのある質感で、見た目も綺麗な紙に仕上がりやすい。ただし一方で紙1枚を漉くのに時間が掛かるため生産性が落ちる。質と量を天秤に掛け、適当な配合を常に探る。そのためには肌感覚や目分量でなく、決められた数量・分量をきっちり守りながらの作業や調整も大事になるという。

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おすすめ書道半紙:ガンピ白ウス

 原料として使われるのは貴重な国産雁皮のみ。薄く光沢感のある質感で、後ろの透ける透明感も大きな特徴の紙となる。虫を寄せつけ辛いという特性から、和紙人形などの工芸品の素材として使われたり、書道のみならず篆刻などの芸術作品製作に用いられることもある。全国を見ても稀少価値の高い和紙だ。

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「好き」の気持ちこそが書の上達を導くカギに

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宇田秀行さん

 今の時代はデジタルも発達し、なんでもパソコンやスマホで解決できるようになりました。紙に文字を書く機会も、ずいぶん減っているのではないかと思います。ですがその中で敢えて時間をかけて墨を磨り、筆を取って文字を書く。そんな書道に親しむ方々を見ていると、やはりそれが好きなんだろうなあ、としみじみ感じますね。手間がかかる作業でも、愛があればこそ続けられる。まさに「好きこそものの上手なれ」なのだと思います。書道は一朝一夕で成果が見えるものではなく、毎日基礎的な稽古や練習をコツコツ積み重ねて、ようやく少しずつ上達するもの。長い道のりの中で辛く苦しい時こそ、書道を「好き」な気持ちを励みに頑張って欲しいですね。

 

会社:宇田武夫製紙所
住所:〒799-0111 愛媛県四国中央市金生町下分2015
TEL:0896-56-3245